日本語も英語もできない留学生がやってきた。それどころか年齢をはじめあらゆる情報が不詳な原住民族、ルター族の美貌の戦士カルタカ。
大学から命じられて彼の世話をすることになった大学職員の稜一郎は、意思疎通ができないうえに、日本の文明についていけないカルタカに次第にうんざりして……というストーリーです。
言葉は出来ないけれどとにかくイケメンのカルタカに何度も見惚れる稜一郎。
カルタカが日本語を習得するにつれて次第に二人の距離は縮まっていくけれど、カルタカは大学でも女子生徒に大人気。
それを見て嫉妬を感じるなど、乙女をハラハラドキドキさせる要素も満点です。
カルタカを演じる日野聡さんが最後のキャストトークで「原作を読んですごく面白いと思ったんですよ」と語っている通り、カルタカの話す言語はルター語。
原作では象形文字のような表記がされていたようで、それをどう音声化するのかという、キャストさんもワクワクの作品だったようです。
ちなみにこのルター語にはある法則があるようで、主人公の稜一郎演じる野島裕史兄さんは「法則が分かった」とおっしゃっていました。
野島裕史といえば、クール不愛想受け&センシティブでナイーブな青年というイメージが強かったのですが、この作品では焦ったり起こったりとコミカル。
対する日野聡は落ち着いた低音でぼそりぼそりと話すのが対照的です。
ルター族式の「好き」と現代社会での「好き」を表す行為が違っていて、いつの間にかひかれあうようになったお互いが、相手の方法で「好き」を表現するところにキュンときます。
そしてBL作品では忘れてはいけない絡みシーン!
ビッチ属性ではない稜一郎が、現代文明での性行為についてカルタカに教えて、導くところがもう……!
どちらかというと清純派な受けが恥ずかしがりながらも無知な攻めに教える、というあまりないシチュに萌え萌えになります。
野島裕史演じる稜一郎が留学生の世話を大学から命じられたのが「君は英語が堪能だから」という理由で、最初カルタカは英語が出来ると思っていた稜一郎は何度も英語で語り掛けるのですが、野島裕史の話す英語も聞けちゃって、ファンには「お得」な一枚です。
野島兄さんの英語が耳元で~♪
日本人と外国人の恋、留学生との恋、というシチュは他にもありますが、先住民族、戦士との恋、言葉もろくに通じない、文化も全く違うというシチュは他にはないのでは。
胸が悪くなるような場面もなく、登場人物が皆好人物で、でもちゃんとハラハラもできて面白い!
2016年の夏、イチオシの一枚です。
(ライター 矢吹良子)
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